ブリブリのさらなる人生

無職からどう復活し、その先まで…

平家落人のホテルで見た幽霊

夏になったので、少し自分の実体験怪談を書いていこうと思います。
昔から知ってる人は、これまでいくつもの話を書いてきてますので、またか?って方もいらっしゃると思いますが、お付き合いいただけたらと思います。

それで、過去から書いてきた俺の怪談は、全て実体験のものなので、落ちとかそういうのはありませんので、つまらない話に終わる事もあります。
あしからず(笑)


あれは、まだ俺が20代の初めのころでした。
職場の旅行で、サロンバスの貸し切りで、ゆったりのんびりと日光のその平家落人のホテルに向かいました。

その昔のことだから、行のバスからかなり全員が酒を飲みながらの旅行で、現地に到着した時には、かなり酔っぱらっていました。
けっこう古そうなホテルで、静かな森の中にありました。

囲炉裏を囲んでの山の幸コースでは、猪や鹿の料理、サンショウウオの串焼きなどまであり、普段食べられないものがふるまわれてました。

それで、俺もちょっと飲み過ぎていましたので、夕飯の宴会でもってまたも迎え酒?って感じで、かなりピークに達してました。

多分、夏も終わりのころで、ホテルに到着した時には、少し肌寒い感じがしてました。

そうした寒暖の差のせいか、夕の宴が終わったらダウンしてしまい、先に寝床に入って寝てしまいました。
しばらくすると、かなりの喘息の発作が起きて、そんな事、何年かぶりで、自分でも驚く程でした。
子供のころ、けっこう重い小児喘息で、死にかけたこともあったのですが、すっかり体調も良くなって、ずっとそんなこと忘れていたくらいです。

それで、体を起こして廻りも見渡すと、そこは8人部屋だったのですが、先輩が何人か寝ていて、同僚はいませんでした。
ちょっと息苦しかったので、温泉でも入ったら楽になれるかと思って、夕食後にすぐ寝てしまったので、温泉に行ってみる事にしました。
時間にして、23時近かったと思います。

俺が1人でタオルを持って廊下を歩いてると、にぎやかな笑い声が聞こえてきて、前から同僚たちが歩いてきました。
俺を見るやいなや、中の一人が、混浴の風呂で、若い女の子と一緒だったと、興奮気味で話をしてきました。
残念ながら、もう出てしまった…って事でした。

今じゃ、お目にかかれない混浴の風呂が、この先すぐのところにあって、俺もちょっとエロい気持ちを持って、行ってみようかなと思いました。

俺が混浴露天風呂入口の扉に手をかけたときに、同僚の最後の一人が出てきて、もうみんな出たから、誰もいないよ…と、一言告げて部屋の方向へ戻って行きました。

ま、一人ならいいかと、その露天風呂入りました。
脱衣所には誰もいません。

露天風呂は岩に囲まれたちょっと大きめの楕円形の風呂で、風呂の後ろ側には、外から見えないように、枯れ草で装飾されていました。
その装飾の向こうに、墨を流したような山々が浮かんでるのが、月明かりで見えました。
見渡しても誰もいません。
これは貸し切りだ…とのんびり足を延ばしてつかりました。

最初暗かった風呂ですが、そのうち目が慣れてきて、とりあえず、湯加減もちょうどよく、しばらすると、不思議と喘息も落ち着いてきました。

それで、その時に気が付いたんです。
自分はその楕円形の風呂の、長手方向端っこに入ってましたが、対角に誰か人影が見えました。

え?誰か入ってたっけ?

ちょっと湯気は立ち込めてはいましたが、確かに俺が入った時には、誰もいなかったと思います。

見た感じ男か女かもわかりません…
それで、一瞬話しかけようかと思いましたが、ちょっとつかって、喘息も良くなったから、もうしばらくしたら出ようと思いました。

それで、少ししてから、出る事にして、最後に人影の方行を眺めると、まだ誰か入ってます。

俺は小さい声で、お先に~というと、そろそろと出て、脱衣所でさっさと浴衣に着替えてる最中のことです…

俺の後ろを誰か通って行って、
「いいお湯だったね~」としゃがれた年配女性の声が聞こえました。

振り返ると、そこには誰もいません。

廻りを見渡しても誰もいないので、ちょっと驚いて、また露天風呂の中を覗きに行くと、さっきの人影も消えていました…

俺は怖くなって、急いで部屋に戻って、最後に出てきた同僚に、おばあちゃんか誰か入ってなかったか?って聞くと、俺が最後だから誰もいないよ…と言われました。

あれはいったい誰だったんしょうか…

平家の亡霊の一人だったのでしょうか…